相続税の支払い 保険の利用
保険の利用
相続税の支払いが必要とわかっても、土地などが主な財産のため、現金が不足すると考えられるとき、生命保険を利用するという考え方があります。
どのような形で利用することが最適かは、個々人の条件・状況により異なりますが、簡単にご紹介してみたいと思います。
相続税を考えた保険の利用
一般に、相続財産のうち70%程度は土地といわれています。相続が発生して、土地を売却し資金を調達する方法もありますが、時間がかかったり、売却による税金も発生します。物納も申請が以前に比べ時間が短縮されたようですが、認可手続きがいろいろと必要です。
資金準備をしておくことで、納税がスムースに行われますので、相続税がどれくらい必要かという試算と、その対応策は考えておきたいものです。
◆相続税タイプ
被相続人(亡くなる人)が、健康で生命保険に加入することができそうであれば、相続税タイプの生命保険で納税資金の準備を考えてみます。
注意事項としては、契約者(保険を契約する人)、被保険者(保険をかけられる人)、死亡保険金受取人の関係は、以下のとおりでないといけません。
この場合は、死亡保険金から「500万円×法定相続人の数」分が控除できます。死亡保険金は、受取人である相続人個人の財産として、相続放棄をした場合でもこのお金は受け取ることができます。
保険金から「500万円×法定相続人の人数」である金額を引いた残りの金額は、「みなし財産」として相続税が課税されます。
◆所得税タイプ
相続税タイプでは、保険金にかかる相続税額が大きく、相続税の準備にならない場合もあります。その場合は、所得税タイプも検討してみます。
この場合は、保険金は相続人の一時所得として所得税・住民税が課税されます。
ただし、契約形態は上記と異なるので注意をしてください。保険の契約者は相続人(=受取人)、被保険者は被相続人(保険をかけられる方)です。
この場合は、上記のように、受取保険金から払い込み保険料、特別控除の50万円を引いた金額の半分が課税対象となります。保険金が相続財産に含まれることはありません。(相続人の一時所得)
ただし、被相続人から相続人に払い込むべき保険料を贈与するとなれば、贈与税がかかるので注意が必要です。暦年贈与ですと110万円までは非課税ですが、毎年同じ金額だと否認される場合があります。いずれにせよ、直前の対策は難しいので、将来相続税が必要になるとわかれば、早めに計画しておきたいものです。
◆財産評価の引き下げ
相続税の納税資金確保ではないのですが、相続税を計算するときの財産評価の引き下げに保険を利用することもできます。
この場合は、個人年金を利用します。個人年金を原資として保険料を払い、それを遺族が受け取る場合は、将来は現金として遺族が受け取るものであっても、相続税の計算上は減額されますので、評価の引き下げになります。
運用期間中に死亡した場合は、遺族年金支払い特約を付けていないと減額できないので、加入時に注意が必要です。
また、年金の種類により評価方法は異なります。
<確定年金の場合>
(基本年金+増額年金)×残存支払期間×残存期間別割合
<保証期間付終身年金の場合>
この年金受給権は、相続財産として相続税の対象となりますが、死亡保険とは違って「500万円×法定相続人」の控除(非課税枠)はありません。
評価額は、1年間に受け取る年金額に以下の表の年齢に応じた倍数を乗じた金額で評価されます。
たとえば、一時払いで10年保証期間付終身年金保険に加入した場合。
保険料 1000万円
年金年額 60歳開始で70万円
被相続人(契約者・年金受取人) 年金受取開始後1年で死亡
被保険者年齢は、61歳(60歳+1年)
・終身年金の評価額 70万円×2倍=140万円
・10年確定年金の評価額 70万円×9年×0.6=378万円
この被保険者が、死亡しても630万円(70万円×9年)受け取ることができ、252万円の相続財産の評価引き下げができます(終身年金と確定年金のいずれか大きいほう/630万円-378万円=252万円)。
もも編集室 山中由美
1995年よりシニア生活情報誌「もも百歳」編集・企画に携わる。国内外の老人ホームを300ヵ所以上訪問調査、TVやラジオ、新聞、雑誌などからの取材も多く受けている。高齢者やその家族向けの「ホーム選び」セミナーや「老後のマネープラン」についての講義・セミナーを多数開催。 FP技能士、福祉住環境コーディネーター、NPO京都府グループホーム協議会監事、その他。
■もも百歳セミナー情報
http://www.momo100.net/column/index.html/
■blog 山中由美のここだけの話
http://momo-momo.sblo.jp/
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