相続時精算課税制度
相続時精算課税制度
この制度は、高齢社会の日本において、高齢者の資産を次世代に円滑に移転させるべく作られたものです。この制度により生前贈与がしやすくなりましたが、メリットのある人、ない人がありますので、事前によく検討して利用することが重要です。
なお、この制度は「特例」ですので、期限は平成21年12月31日までとなっています。(平成19年末期限が2年間延長されています)
相続税と贈与税の一体化措置
◆相続時精算課税制度<一般>
暦年贈与(毎年の贈与)は、110万円(基礎控除)までは課税されません。しかし、110万円を超えると税率は非常に高くなり、税の負担が急増します。相続時精算課税制度を利用すると、2500万円までの生前贈与には贈与税がかからないので、財産の移転がしやすくなります。
しかし、『相続時精算』という言葉のとおり、贈与者が亡くなった際に相続の財産に加えられて、相続税としての清算が行われます。ですので、原則としては、この制度を選択してもしなくても最終的な税額負担は変わらないということです。
ただし、相続税が発生する場合の話ですので、相続税が基礎控除以下になりそうであれば(相続税を払う必要がない程度の財産なら)、税金はゼロになりますのでメリットがあるといえるでしょう。
また、相続時精算課税制度を選択すると、暦年贈与に戻すことはできません。ただし、2500万円までであれば、何回にわたっても繰り返し贈与ができます。2500万円を超過して贈与した場合、超過分に対して一律20%の贈与税額が必要になります。この分についても、相続発生時に再度相続財産に組み入れられ、支払った20%の税金は相続税から控除されます。
さらに、相続時精算課税制度は一人の贈与者ごとになるので、たとえば父親と母親別々に利用できます。父親と母親からそれぞれ2500万円ずつ合計5000万円まででも可能です。父親からは2500万円の相続時精算課税制度を利用し、母親からは暦年贈与という形でも可能です。
◆相続時精算課税制度<住宅取得資金>
上記の制度にプラスされるのが、住宅取得用の資金である場合です。1000万円プラスされ3500万円まで非課税になります。ただし、同様に『相続時精算』が必要ですので、相続税を支払うほどの財産があるときは、税の支払いを先に繰り延べる程度の効果にしかなりません。
この制度を利用するには、それぞれ条件があります。
※住宅取得用の場合は、一定の家屋である条件が必要です。
・新築もしくは築後経過年数が20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)
・一定の耐震基準に適合する家屋
・床面積が50平米以上
などです。
◆相続税の節税効果はあまり期待できない
たとえば、以下の例の場合を計算してみましょう。
贈与者(被相続人)が死亡しました。相続人は長女と長男の2人。遺産は1億円でした。長女は父から相続時精算課税制度を利用し、生前贈与を2500万円(500万円×5回に分けて)まで受けていた場合。相続時精算課税制度を使わなかったときとと比べてみましょう。
では、暦年贈与(毎年の基礎控除を利用した場合)と比べてみましょう。基礎控除を超えた分の税金を支払っても、総合的には相続税より負担を低くおさえることができそうです。
このように、金額や贈与の形態によって最終的な負担額は変わってきますので、事前に十分検討しましょう。ただし、都心の土地など将来金額が上がりそうな場合、相続時精算課税制度は、値上がり分だけ減額できる効果はあります。贈与時点の評価額で相続時に計算されますので、相続時に土地の価格が上がっていても、贈与時の低い金額で参入できます。
反面、逆の場合(土地の値段が下がっていた時)、贈与時の高い金額で計算されますので、将来性をよく考えて利用したほうがよさそうです。
もも編集室 山中由美
1995年よりシニア生活情報誌「もも百歳」編集・企画に携わる。国内外の老人ホームを300ヵ所以上訪問調査、TVやラジオ、新聞、雑誌などからの取材も多く受けている。高齢者やその家族向けの「ホーム選び」セミナーや「老後のマネープラン」についての講義・セミナーを多数開催。 FP技能士、福祉住環境コーディネーター、NPO京都府グループホーム協議会監事、その他。
■もも百歳セミナー情報
http://www.momo100.net/column/index.html/
■blog 山中由美のここだけの話
http://momo-momo.sblo.jp/
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